今この記事を読んでいる方は、「証券アナリスト」資格に興味を持っている方だと思います。
そして、「意味がない」なんていうマイナスな言葉が目に入ったのではないでしょうか。
私は、証券会社の人事部で、採用・資格取得の担当をしていました。
私からすると、決して「意味がない」資格ではないと思っています。
なぜ証券アナリスト資格は「意味がない」と言われるのでしょうか。
この記事では、以下について解説します。
- 証券アナリストとは何か
- なぜ「意味ない」と言われているのか
- 本当に意味ないのか?メリットを紹介
あなたのキャリア選択に役立つ情報が満載ですので、ぜひ最後までお読みください。
もくじ
証券アナリストとは?
証券アナリストは、金融機関や証券会社に所属し、企業の財務諸表や業界の動向・将来性をリサーチ・判断する専門家です。
企業や業界の情報収集や分析を行い、投資家に投資アイデアを提供する役割を担っています。
証券アナリストの仕事内容
証券アナリストの主な業務は以下です。
- 企業の財務諸表に基づいた決算情報の分析
- 業界の動向・将来性のリサーチ・判断
- 株価の将来予測の立案
- 投資家に対する投資アイデアの提供
ネットや雑誌などでも、証券アナリストの市場予想などが紹介されていることがありますよね!
証券アナリストになるためには?
もし証券アナリストになりたい場合、「証券アナリスト(CMA)資格」が必須なのかと思いきや、実は資格は必須ではないのです。
基本的に、証券会社などの金融機関である程度の実務経験があれば、証券アナリストとして自称することができます。
しかし、アナリストとして高い評価を得るためには、証券アナリスト資格を取得したほうが良いでしょう。
証券アナリスト資格が「意味がない」と言われる理由
上記のことは、「証券アナリスト資格は意味がない」と言われる原因の1つです。
他にも「意味がない」と言われる主な理由はいくつかあるので、以下に挙げます。
国家資格ではなく独占業務もない
証券アナリスト資格は民間資格です。
そのため、例えば「医者になるには医師免許が必要」ですが、「証券アナリスト資格を取らないとできない仕事」がないのです。
資格がなくても同様の業務ができてしまいます。
活用できる職域が限られている
証券アナリスト資格は、主に金融業界で活用され、他の業界では活かしにくいことも、理由の1つとしてあげられます。
受験費用が高い
証券アナリスト資格の取得には、最低でも10万円以上の費用がかかります。
試験を受けるために、指定された通信講座を受けることが必須で、その受講料だけで10万円以上かかります。
資格取得のための費用が高額であるため、費用対効果を感じないという意見もあります。
ちなみに私の場合、短期間での合格を目指したため、別の通信講座も受講しました。
合格まで合計15万円以上かかっています・・・
証券アナリスト資格を取得したらどう変わる?
しかし、証券アナリストの資格を取得することのメリットは、確実にあります。
どんなメリットがあるのか、また取得するとどうなるのか(何に生かせるのか)を紹介します。
証券アナリストを取得するメリット
まず、取得するメリットです。
金融・投資に関する知識が身に付く
証券アナリスト資格は、金融や投資に関する専門知識を身につけることができます。
この知識は、金融業界で働く上で必要不可欠であり、資格を持っていることでその能力を証明できます。
また、自分が「株で儲けよう」としたときに、自分で企業分析して、自信を持って投資することもできるようになります。
収入アップが期待できる
資格を持つことで、より高い収入を得ることが期待できます。
証券アナリスト資格を持っていることは、自分のスキルや知識をアピールするための手段であり、それが収入アップに繋がることもあります。
私の会社でも、証券アナリストを保有していることで評価される仕組みがあります!
就職・転職時のアピール材料になる
証券アナリスト資格は、金融業界への就職や転職に有利に働くことがあります。
資格を持っていることで、自分の専門知識やスキルをアピールできるため、就職・転職活動において有利になることが期待できます。
ちなみに、証券会社への転職に有利な資格は、別記事で紹介しているので、参考にしてください。
証券会社で5年間採用・資格取得担当をしていた経験をもとに書いています!
金融系案件の受注が容易になる
証券アナリスト資格を保有していることで、金融系案件の受注がしやすくなり、効率的に仕事を進めることに繋がります。
「証券会社で働く」以外でも生かせることがある、ということですね!
証券アナリストを取得して活躍できるフィールド
証券アナリスト資格を活かして活躍している人のキャリアパスは、以下のようなものがあります。
証券アナリストの資格を取得することで、多岐にわたるフィールドでの活躍が可能です。
金融機関や証券会社での証券アナリスト
- 証券の分析、評価、推奨など
- 市場動向の予測と戦略立案
証券アナリストとして金融機関や証券会社で働く場合、主に証券の分析、評価、推奨などが求められます。
市場動向の予測と戦略立案も重要な業務となります。
M&Aアドバイザリー部門
- 企業の合併や買収のアドバイス
- 財務分析と戦略的提案
M&Aアドバイザリー部門では、企業の合併や買収のアドバイスを行います。
財務分析と戦略的提案が主な業務で、企業価値の最大化を目指します。
株式調査部門
- 企業の財務状況や業績の分析
- 投資判断のための情報提供
株式調査部門では、企業の財務状況や業績の分析を行い、投資判断のための情報提供をします。
市場のトレンドを読み取り、投資家に対して的確な情報を提供する能力が求められます。
ブティック型投資銀行
- 専門的な投資サービスの提供
- クライアントとの密接な関係構築
ブティック型投資銀行は、専門的な投資サービスの提供を行います。
クライアントとの密接な関係構築が求められるため、高いコミュニケーション能力が必要です。
ブティック型投資銀行は、投資銀行ビジネスに特化した小規模な投資銀行のことです。
資産運用会社
- 投資ポートフォリオの管理と最適化
- クライアントへの投資戦略の提案
資産運用会社では、投資ポートフォリオの管理と最適化を行います。
クライアントへの投資戦略の提案も重要な業務で、投資のプロとしての高い専門知識が必要です。
コンサルティングファーム
- 企業の財務戦略の策定支援
- マーケットリサーチと分析
コンサルティングファームでの業務は、企業の財務戦略の策定支援やマーケットリサーチと分析が中心です。
企業の成長戦略を支えるための幅広い知識とスキルが求められます。
起業家としての独立
- 自身の投資ファンドの設立
- 投資戦略の立案と実行
証券アナリストの資格を活かして起業家として独立する道もあります。
自分で投資ファンドを設立したり、投資戦略の立案と実行したりが主な業務となります。
教育機関での教育者
- 証券や投資に関する教育
- 次世代の専門家育成
教育機関での教育者としては、証券や投資に関する教育を行います。
2022年には、高校で資産形成(投資を含めた内容)の授業が始まっていますからね!
メディア関連
- 証券や経済に関するコラム執筆
- テレビやラジオでの解説
メディア関連のフィールドでは、証券や経済に関するコラム執筆やテレビやラジオ、ブログなどでの解説が主な業務です。
一般の人々にも分かりやすく伝える能力が求められます。
証券アナリストの転職市場
証券アナリストを取得するメリット、活躍できるフィールドを紹介してきました。
ここでは、最近の証券アナリスト保有者の転職市場動向をご紹介します。
証券アナリストの求人状況
金融業界では、証券アナリストの専門的な知識を活かせる求人が増えています。
特に、大手証券会社や投資銀行では、専門的なポジションが多くあります。
証券アナリストの転職市場
証券アナリストの資格を持つ人々にとって、転職市場は活況です。
多岐にわたる業務で活躍できるため、転職先の選択肢も広がります。
証券アナリストの平均年収
証券アナリストの平均年収は、一般的な職種よりも高い傾向があります。
専門的な知識とスキルが評価され、報酬に反映されることが多いです。
このように、証券アナリストの資格を取るメリットはたくさんあります!!
最新の転職市場動向は、転職サイト・転職エージェントで確認してください。
オススメは「リクナビNEXT」、「リクルートエージェント」です。
転職サイトと転職エージェントの違いについては下の記事を参考にしてください。
証券アナリスト資格取得までのステップ
そろそろ、証券アナリスト資格にすごーく興味がわいてきたのではないでしょうか?
ここでは、証券アナリスト資格を取得するまでのステップをご紹介します。
必要なステップは以下です。
- 第1次レベル講座の受講
- 第1次試験の受験
- 第2次レベル講座の受講
- 第2次試験の受験
- 実務経験
第1次レベル講座の受講
日本証券アナリスト協会が提供するCMA資格の第1次レベル講座を受講します(必須です!!)。
受講した年度の翌年から3年間、証券アナリスト1次試験を受けることができます。
- 申し込み方法:日本証券アナリスト協会のこちらのページから申し込みができます。
- 学習方法:講座テキストによる自習方式(年4回、テキストが郵送されてきます!)
- 学習内容:6分野(証券分析、財務分析、職業倫理などの基本知識の習得)
- 受験資格:誰でも受講できます。
- 受講料:6万円(法人会員の割引あり)
翌年にならないと、試験を受けられないので注意!
しかも、3年間で合格しないといけないので注意!
受からなかったら、またお金を払って受講しないといけない…
第1次試験の受験
第1次レベル講座を受講した翌年、ようやく1次試験を受けることができます。
- 申し込み方法: 日本証券アナリスト協会のマイページ「受験申込」から申し込めます。
- 試験形式:マークシート
- 試験日: 年2回・・・春(4月下旬)と秋(9月下旬または10月上旬)
試験は3科目に分かれていて、1つずつ受験することも、3つ一気に受けることもできます。
1次レベル講座で学ぶ、6分野全てが出題される感じです。
- 科目①:証券分析とポートフォリオ・マネジメント
- 科目②:財務分析、コーポレート・ファイナンス
- 科目③:市場と経済の分析、数量分析と確率・統計、職業倫理・行為基準
科目 | 試験時間 (配点) | 受験料 (税込) |
---|---|---|
① | 9:30~12:20 (170点) | 6,400円 |
② | 13:40~15:20 (100点) | 3,300円 |
③ | 16:15~17:45 (90点) | 3,300円 |
ちなみに私は、3科目を一気に受けて、1発合格しました。
私が勉強した方法は別記事にて紹介予定です。
第2次レベル講座の受講
第1次試験に合格後、今度は第2次レベル講座を受講します(これも必須です!!)。
ここから、めちゃめちゃ大事なことを言いますよ!!
1次試験の合格年を含めて3年以内に第2次レベル講座の受講を開始しないと、2次レベル講座の受講資格が失効し、1次レベル講座からやり直しになります。
また、2次レベル講座を受講した翌年から3年間、証券アナリスト2次試験を受けることができます。
3年以内に合格できない場合、年度内に再受講する必要があります。
期限内に再受講しないと、第2次レベル講座の受講資格(第1次試験の合格実績)が失効し、第1次レベル講座の受講からやり直しになります!!
期限内に2次レベルの講座を受講開始して、期限内に合格しないと、1次試験の合格も取り消しになるよ!!
ということです。
3年ごとに2次レベルの受講料を払い続ければ、1次は失効しませんが…
- 申し込み方法:日本証券アナリスト協会のこちらのページから申し込みができます。
- 学習方法:講座テキストによる自習方式(年4回、テキストが郵送されてきます!)
- 学習内容:6分野(証券分析、財務分析、職業倫理などの実践的な応用力)
- 受験資格:1次試験3科目合格者(3年以内)
- 受講料:5万7000円(法人会員割引なし)
学習内容は、1次と2次で変わりませんが、1次では「基本知識の習得」が求められ、2次では「実践的な応用力の涵養(かんよう)」が期待されています。
第2次試験の受験
第2次レベル講座を受講した翌年、ようやく2次試験を受けることができます。
- 申し込み方法: 日本証券アナリスト協会のマイページ「受験申込」から申し込めます。
- 試験形式:筆記
- 試験日: 年1回・・・6月上旬
1次試験は3科目を1科目ずつ受験が可能だったし、マークシート形式でした。
2次試験は全学習分野の総合試験となります。しかも筆記形式なので、理解していないと何も書けません。
選択式の問題も少しありますが、基本的には論述で、計算問題も計算式まで手書きするので、しっかり理解していないとオワリます。
試験は、午前3時間、午後3時間の、合計6時間です。
午前には午前の問題が、午後は午後の問題が用意されていて、お昼の時間は外出してランチを食べに行くこともできます!!
試験時間(配点) | |
---|---|
午前 | 9:30~12:30(180点) |
午後 | 13:45~16:45(180点) |
問題は毎回かなり難しくて、基本的にみんな撃沈します。
あと、字を書きすぎて手がしんどくなります。
ちなみに私は、2次試験も1発合格しました!
私が勉強した方法は別記事にて紹介予定です。
実務経験
証券アナリスト2次試験まで合格しても、
証券分析業務などの実務経験を3年以上、もしくは証券分析に関する学識経験者じゃないと、日本証券アナリスト協会検定会員になれません。
2次試験まで合格できていれば、資格が失効することはありません。
実務経験が3年に達したあと、いつでも検定会員として入会の申込みができます。
協会に入会することで、正式に証券アナリストとして活動できます。
結論:証券アナリストの取得には意味がある!
さいごに、この記事のタイトル「証券アナリストは意味がない」について、私の考えを書きます。
証券アナリスト資格が「意味がない」と言われる理由は、以下のことが考えられます。
ここから言えることは確かに意味がない人もいるということです。
証券アナリスト資格は、全員が取るべき資格ではありません。
しかし、紹介した「取得するメリット」を見ていただければ分かるように、
主に金融系で働く人・転職したい人には非常におすすめ(というかほぼ必須レベル)の資格です。
証券アナリストを取得すれば、主に金融の分野で、活躍できるフィールドはたくさんあります。
もし、自分の将来の目標・キャリアプランを考えたときに、
これらの選択肢があるのであれば(もしくは候補にあがる可能性があるのであれば)、
証券アナリストを取得する意味は確実にありますよ!!
さいごに
この記事では、証券アナリストの資格について、その価値についてかなり深くご紹介できたと思います。
なかなか難しい資格ですが、金融系で働くのであれば、挑戦する価値のある資格だと思います。
参考になれば幸いです。
以上です!!